『父親たちの星条旗』 huluで視聴した感想と作品紹介

作品概要

父親たちの星条旗

本作は2006年に公開された映画です。太平洋戦争における日本が戦場になった激戦地の一つ、硫黄島の戦いアメリカ側からの視点で描いています。また、この戦いを日本側の視点で描いた映画硫黄島からの手紙も製作。二部作の構成ではありますが、それぞれ独立した作品となっています。
監督は1992年『許されざる者』、2004年『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞監督賞を受賞し、自身も俳優として活躍しているクリントン・イーストウッド

原作は『硫黄島の星条旗』というノンフィクション作品。これは硫黄島の戦いを経験した父を持つジェームズ・ブラッドリーとジャーナリストのロン・パワーズよって、ジェームズの父や関係者からの話を元にして書かれた手記です。
映画では、この手記を執筆するために父親や関係者に話を書くジェームズの視点、実際に硫黄島で戦った兵士たちの視点、そして硫黄島の戦いから帰ってきて政府のキャンペーンに従事することになった兵士たちの視点、これら3つの視点が交錯する形が採られています。

今作はイーストウッドが同じく監督を務めた『アメリカン・スナイパー』と同じく、戦争から帰還した兵士の苦悩を描いた反戦映画と見ることができるでしょう。


アメリカ側から描いた硫黄島での戦いという、いわば日本にとっては敵国が主役の作品ではありますが、第49回ブルーリボン賞並びに第30回日本アカデミー賞最優秀外国作品賞を受賞するなど、日本国内でも評価が高い作品です。

硫黄島の星条旗

今作における重要な要素に「硫黄島の星条旗」(原作では無く写真を指します)が挙げられます。
当時、日本軍の徹底抗戦のために戦争は長期戦となっており、アメリカ本国の国民たちはいつ終わるとも知れない戦争に嫌気が差していました。
国家予算の多くは軍備に費やされ国民の生活は疲弊、ドルの価値は下がり、国全体が破産寸前の状況だったわけです。そんな中では戦時国債も売れず、その結果軍備に資金を回せないという悪循環に陥っていました。
そんな閉塞感漂う空気を一気に打開したのがなんとたった一枚の写真。それが「硫黄島の星条旗」でした。

父親たちの星条旗


これは従軍カメラマンのジョー・ローゼンタール(1911━2006)によって撮影された写真で、硫黄島の最重要拠点である擂鉢山を制圧した際に、アメリカ軍によって星条旗が掲げられるところを撮影したものです。
この印象的な写真は多くの国民に戦争の勝利をイメージさせるのに十分なほど魅力的なもので、この写真に写っている兵士たちを国民は英雄と称えました。


これを好機と捉えた軍上層部は硫黄島の戦いの後(戦い自体は35日間の激戦の末、アメリカ軍が勝利しています)、写真に写っている兵士たち6人を国に呼び戻し、戦時国債を募るためのキャンペーンに利用しようと考えます。
こうして写真に写っていた兵士の3人は(実際に写っていたのは6人でしたが、内3人が戦死していました)英雄と称えられながらアメリカ各地を行脚することになります。

硫黄島の戦い

先ほどから登場する硫黄島の戦いですが、簡単におさらいするだけでも映画をより楽しめるでしょう。

日本率いる枢軸国と、アメリカ率いる連合国による太平洋戦争において、硫黄島は双方にとって重要な拠点でした。
硫黄島は東京から南へ約1080kmに位置し、日本はこの島を当時植民地化していた東南アジアへの航空経路の中継地点としていました。
このことは、逆にアメリカにとってはここを奪還することで、日本本土への攻撃をするための大きな足がかりとなるのです。
つまり、硫黄島の戦いの如何によっては太平洋戦争の決着が決まると言っても過言ではありませんでした。そのため硫黄島は双方大きな戦力を注ぎ込んだ、まさに激戦の地となったわけです。

最終的な損害は日本側は20,129名が戦死または行方不明、アメリカ側は戦死6,821名、負傷者21,865名にものぼります。日本側は、もとよりこの戦いに勝てる見込みは想定しておらず、1日でもアメリカ軍の本土上陸を遅らせるために玉砕覚悟でこの戦いに臨んでいました。そして結果的に総兵力の96%が損害を受け敗北したわけですが、問題はアメリカ側の損害でした。

アメリカの当初の計算では、戦いは5日間、死傷者は15,000人に及ぶことを想定していましたが、実際は硫黄島全土に地下壕を張り巡らせ島を要塞化した日本軍の抵抗に苦戦し、勝敗が決するまでに35日間、死傷者の数も上記の通りとなっていまいました。
さらにこの損害は、史上最大の上陸戦と言われた「ノルマンディー上陸作戦」をわずか3日で上回ってしまうほど。アメリカ側の損害の規模の大きさが伺えるでしょう。

あらすじ

━━戦争を分かった気でいるやつはバカだ。特に戦場を知らぬ者に多い。

太平洋戦争から帰還したジョン・ドク・ブラッドベリーは、終戦から数十年経ち年老いた老人になっても戦争時に体験した恐怖に神経を脅かされていた。彼はそこで経験したことを家族にも話すことはなくその生涯を終えようとしている。
息子のジェームズは父が戦地で何を体験したか知る必要があると思い立ち、当時の仲間たちから話を聞くことに。
それは太平洋戦争最大の激戦地の一つとして数えられる硫黄島の戦いと、そのことで国から英雄として称えられることになった兵士たちの苦悩であった。

父親たちの星条旗

1945年2月19日に開戦された硫黄島の戦い。硫黄島全土を要塞化した日本軍の徹底抗戦に、アメリカ軍は予想以上の打撃を受けながらも島内最重要拠点である擂鉢山を制圧。そこに星条旗を掲げる。その時の様子が一枚の写真に記録されていた。その写真は瞬く間にアメリカ全土へ伝えられ、国民は写真に写る6人の兵士たちを英雄と称える。これを見た軍本部は彼らを戦時国債を調達するためのキャンペーンに利用するためにその6人を国に呼び戻すことに。しかし、6人中すでに3人は戦死しており、さらに呼び戻された3人の兵士たちの中にはジョンの姿があった。

英雄と褒め称えられ、歓迎パーティーに参加し、軍のキャンペーンに行脚する日々。
しかし彼らはある苦悩を抱えていた。国民が彼らを歓迎すればするほど、ますますその苦悩は重く深く彼らにのしかかってくる。

一枚の写真に人生を翻弄される兵士たち。戦地で一体彼らの身に何があったのか。彼らが抱える星条旗にまつわる苦悩とは。
硫黄島の戦いの真実が明かされる。

感想

反戦をテーマにした作品は数多くあり、その表現方法も様々でしょう。戦場の残酷さを描いたり、戦場で散っていく者や残された家族の悲しさを描いたりなど。

しかし、監督であるクリント・イーストウッドの手法はちょっと違います。

彼は、戦争とは虚しものだという主張を映画を通じて我々に訴えかけているのだと著者は捉えました。
今作では戦場から帰ってきた兵士たちを描くのに多くの時間を割いているのですが、それを観れば彼らと彼らを英雄視する国民との間には深い溝があることは明白でしょう。
今作だけでなく、彼が監督を務めた『グラン・トリノ』や『アメリカン・スナイパー』でも戦場で心に傷を負った兵士を描いています。そのことからも、イーストウッドは一貫して兵士が戦場で負ったPTSD(心的外傷ストレス障害)を通じて戦争の虚しさを描こうとしているのです。

そんな作品に対して、迫力のある戦闘描写が凄い!など言うのはお門違いかもしれません。
しかし、その点も今作は妥協していません。四肢欠損は当たりまえ。内臓が飛び出し、首がちょんぎれるなど、戦場を描くのに一切妥協をしていません。
こうしてリアルな戦場を描くことで、帰ってきた時との日常とのギャップを描いているのでしょう。そのギャップに見る人の心にある種の徒労感のようなものが生まれます。
これが戦争が生む悲劇の始まりです。視聴している我々でもそのように感じるのですから、当の兵士たちの心は推し量れないものとなっているのでしょう。
その演出が非常に効果的に生きています。

また、今作は同じ舞台をアメリカ側と日本側の双方の視点から描いた2部作である点が非常にユニークであり、前例がないと思います。
今作の場合、敵が日本人であるということから、我々日本人が視聴するのに抵抗があるかなと思ったのですが、全く問題ありませんでした。「顔の見えない敵」として登場しているので、そこの掘り下げは『硫黄島からの手紙』で描くのでしょう。
逆に戦争中の兵士にとっては敵はこのように見えるのが普通だと思いますので(と言っても戦争を経験したわけではありませんが)、非常にリアリティがあると感じました。

このように、観るものの心に戦争の虚しさを強く訴えかける『父親たちの星条旗』。『硫黄島からの手紙』と比べた場合、ついつい日本人が主役だからと『硫黄島━━』を手にとってしまいがちかもしれませんが、今作も是非視聴してみてください。

登場人物紹介

役:ジョン・ドク・ブラッドリー
演:ライアン・フィリップ

役:レイニー・ギャグノン
演:ジェシー・ブラッドフォード

役:アイラ・ヘイズ
演:アダム・ビーチ

huluでの配信

字幕作品のみ。視聴時間2時間12分。

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